動画制作を内製化する時はここに注意!
著作権と許諾に関する基礎知識
誰でもインターネットで無数の情報にアクセスできる時代、また簡単に情報発信ができる時代となりました。またスマートフォンカメラの性能の高まりや手軽に使用できる編集アプリの普及等により動画制作をすることのハードルも下がっています。こうした環境の変化もあり、これまでは外部委託していた動画制作を内製化しようと考えている企業も増えているのではないでしょうか。 動画制作において知っておかなければならないのは撮影や編集などの制作方法だけではありません。ビジネス用途で利用する動画においては画像や文章等の権利・許諾についても正しい知識を持っておかなければなりません。例えばWEB上から取得した画像や文章等を無断で転用した結果、著作権者から訴えられてしまうリスクや、許諾を得ずに他人の敷地で撮影することでトラブルになるケースもあります。「悪気はなかった」「知らなかった」で済ませられる問題ではありません。 さらに、近年は生成AIを用いて文章や画像、動画を作り出すことも簡単に行えるようになってきました。AIを使って生み出した成果物を動画作品の素材として使う場合に注意すべき点とは・・・?トラブルを発生させないために知っておきたい著作権を中心とした権利と許諾に関する主な事柄をご紹介しますのでご参考になさってください。
【押さえておきたい権利と許諾に関する基礎知識】
1.著作権とは?
著作権の意味合いは文脈によって異なりますが、ここではひとつ、著作物を無断で利用されない点が挙げられます。 まず、著作者は、何らか手続きを取る必要はなく著作物を創作した時点で自動的に著作権を取得できます。 他方、他人の著作物をWEBサイトに掲載したり動画に取り込んでYouTube配信等をしたい場合は著作権者が求める条件に従って許諾を得なければなりません。 無断で利用した場合は著作権の侵害にあたります。著作権者は利用の停止はもちろんのこと損害賠償の支払いを請求する権利を持ちますし、著作権の侵害は犯罪行為ですので懲役刑や罰金刑に処される可能性もあります。また企業としてこうした行為を行った場合はイメージダウンによって売り上げにも影響を及ぼしかねません。 著作権は原則として著作者の死後70年間保護されますので、侵害しないように気をつけなければなりません。
2.著作物について
著作物は私たちの身の回りにたくさんあり、漫画、小説、音楽、絵画、映画(動画)、写真、ソフトウェア等がその一例です(なお、作風や画風といったアイデアやありふれた文章等については著作物には含まれません。) 動画制作においては、撮影した動画素材はカメラマンやディレクター(監督)に、脚本やイラスト、BGM等の音楽を作った場合はその作者にも当然、著作権が発生します。また著作隣接権といい、著作物の創作者ではないものの、著作物の伝達について重要な役割を担っている実演家、レコード製作者、放送事業者及び有線放送事業者等に認められた権利もあります。よってクライアントからの依頼に基づいて制作した動画作品であっても、納品後に制作会社や制作スタッフ・作者に著作権が残ります。 また、誰もが手軽に撮影できるスマートフォンの写真や子供が描いたイラスト、SNSで配信した文章等が著作物として保護されるケースもあります。著作物性についての判断は裁判所によるところがありますが、インターネット上にあるコンテンツのほとんどが著作物として保護されている可能性があると考えておいたほうがよいでしょう。
3.著作権侵害が発覚する可能性について
インターネット上にある写真や文章を少し使ったくらいであればわからないだろうと考えるかもしれませんが、ITの発展により小さな著作権侵害が発覚する可能性は非常に高くなっています。 一般消費者が企業サイトやSNSなどにおいて著作権の侵害を発見し、インターネットで拡散してしまうというケースや、待遇に不満を持った社員による内部告発で発覚するケースも考えられます。
4.許諾を得ずに利用できる場合
他人の著作物を利用したい場合、原則として権利者から利用の許諾を得る必要がありますが、権利制限規定に該当する場合は権利者から許諾を得ずに利用することができます。 権利制限規定は複数ありますが、代表的なものをいくつかご紹介します。
*私的使用のための複製
*図書館等における複製
*学校その他の教育機関における複製・公衆送信・公の伝達
*視覚障害者等のための複製等
*営利を目的としない上演・演奏・上映・口述等
5.ロイヤリティフリー素材であれば使っても問題ない?
インターネット上で写真やイラスト、音楽、動画など素材の検索をすると、使用料を支払って利用するレンタル素材だけでなくロイヤリティフリーの素材がたくさん見つかります。ロイヤリティフリーの素材は使用料が無料となっていても、必ずしもそのまま自由に使えることを意味するものではなく、使用又は使用方法が限定されている場合などもあります。 商用利用可能とされているロイヤリティフリー素材もあると思いますが、ロイヤリティフリー素材だからといって一概に許諾が全てクリアになっているとは限りませんので何の確認もせずに使用するのは危険です。 自身が使おうとする著作物の範囲や使用方法について、どこまで自由に使えるかの確認を行い、また、素材提供者の信頼性が低かったり不正に入手した素材が転載されていたりする可能性もありますので注意しましょう。 まずは各サイトの利用規約等によって権利関係をしっかりと確認した上で、不明点があれば運営元に問い合わせてください。
6.自社の社員が撮影や制作をした動画の著作権は?
著作権は著作物を創作した個人(自然人)に帰属しますが、会社の業務として制作した場合は例外として会社が著作者になることがあります。法人等が著作者となる場合は職務著作(または法人著作)と呼ばれます。社内規程や社員との契約内容に職務著作に関する取り決めがある場合はそれに従い、たとえば、法人と従業員の間で「著作権は従業員に帰属する」などとする契約がある場合には、当該従業員が著作者になります。
7.他社商品やブランドロゴやキャラクターが動画に映り込んでしまったら?
美術的要素のない工業製品は著作物ではありませんが、ブランドロゴや商品名、企業名等には商標権や意匠権があるので映り込みには注意が必要です。企業イメージを下げるような使用の仕方や他社製品を自社製品と誤解させるような映し方をしてはいけません。
また、いわゆるキャラクターの図柄等にも著作権があります。一定の要件を満たして使用すれば著作権侵害にならない場合もありますが、営利目的であるビジネス用途の動画作品においてはリスクが高いためキャラクターの映り込みも避けるほうが良いでしょう。
8.自社外での撮影において注意すべきこと
他者の敷地内で撮影する場合は、例え数分であってもそのエリアや建物の管理者に許可を取る必要があると考えられます。
・公園…管理事務所等に事前確認が必要です。使用料が発生する場合や撮影が禁止されている場合もありえます。
・公道…所轄の警察に道路使用許可を申請する必要がある場合がありえます。
・商業施設・駅…施設の管理会社、各鉄道会社へ申請が必要です。
また屋外での撮影においては様々な物が映り込む可能性があり、その配慮も必要です。
・建物・車
建物の中でも、私有の建物、建築物のデザイン等には意匠権や著作権などの知的財産権が発生する場合があります。当該建物の創作性が高く、美術の著作物にも該当するような建築物については、販売目的での写真撮影などは著作者の許諾が必要となります。
また、区役所や市役所のような公共の場であってもそこで展示されている美術作品などには著作権等の知的財産権が発生する場合があるので注意が必要です。
その他、車の映り込みにも配慮が必要です。場合によっては、ナンバープレートにモザイク処理などを行うとよいでしょう。。
・人物
人物が映り込んでいた場合は肖像権の侵害になる可能性があります。人物が判別できない場合や、、判別できる状態でも動画のメインになっておらずただの通行人のような形であれば、肖像権侵害のリスクは相当程度減少します。
インタビューのように人をメインにして制作された場合は当然のことながら肖像権について本人の許可を得る必要があります。インタビューではなくとも特定の人物をクローズアップして映す場合には被写体となり、特定性の満たされる全ての人に対して許可を取らなければなりません。
なお肖像権については社員にも当てはまります。そのため在籍中の社員であっても動画に出演してもらう場合は許諾を得る必要があります。さらに動画に出演した従業員が退職した場合には改めて意向を確認して許諾を得るか、その人が特定できる部分を削除したり、撮りなおすなどの対応が必要です。
9.生成AIと著作権について
AIで生成したコンテンツを利用する際、様々な問題点があり、本コラムにてすべてを紹介するものではないですが、特に次のような点には注意が必要です。AIを利用して生成した場合でも、その利用が著作権侵害となるか否かは人がAIを利用せず絵を描いた場合等の、通常の場合と同様に判断されます。既存の著作物との「類似性」及び「依拠性」が認められるAI生成物を利用する際は、著作権者の許諾を得て利用するか、権利制限規定が適用されない限り、著作権侵害となりえ、その場合、損害賠償請求や差止請求、刑事罰の対象となりえます。
【KANSHAにおける著作権の考え方】
上記にもある通り、クライアントに制作物を納品した後にも制作会社や制作スタッフ等に著作権が残りますので、クライアントが別の用途で使用する際に二次利用料を請求するというケースがあると聞きますが、弊社では作品納品と同時に権利もクライアントに譲渡します。
またクライアントからご希望があれば、完成作品に使わなかった撮影素材も全部お渡しします。よって弊社にご依頼いただいた制作物については、クライアントの著作物としてお好きな用途でご活用いただくことが可能です。
【まとめ】
著作権や肖像権といった権利について、少しくらいなら問題ないだろうと軽く考えていると大きなトラブルに発展したり金銭的損害が発生したりするリスクもありますので、動画制作を内製化する場合にはこうした権利関係のことについても十分に考慮することが必要です。
もちろん今回ご紹介した内容が全てではありません。ご紹介した内容で気になることがある場合やもっと詳しく知りたいという場合にはぜひ専門家に相談してみてください。
リスクを回避した上で質の高い動画を制作したいという場合は、やはりプロに依頼するのが安心です。前述の通りKANSHAでは納品後に著作権をクライアントへ譲渡していますので納品後も著作権を気にすることなくご活用いただけます。まずはお気軽にご相談ください。
参考:著作権セミナー「AIと著作権」文化庁著作権課
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